全国高等学校教頭・副校長会近畿地区連絡協議会京都大会で、永守理事長が記念講演 200人が熱弁に聞き入る

2019年11月11日トピックス

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 副校長や教頭ら約200人が集まった全国高等学校教頭・副校長会近畿地区連絡協議会京都大会が2019年11月8日(金)、京都市内にあるルビノ京都堀川で開かれ、本学の永守重信理事長が講演を行った。質疑応答を含め1時間半にわたる“永守節”全開の熱弁に、出席者は魅了された。講演は「組織を動かす人が絶対知らなければならない『考え方』」と題して行われた。冒頭、「学校の先生と公務員は、私の話が伝わらないので、講演をしなかったが、今回は京都先端科学大学のPRのチャンスだと思い来た」といきなり切り出し、会場の笑いを誘い、さらに、「知らないうちに決まっていた講演のタイトル通りの話になるかわからないが、私の生い立ちから話す」と続け、会場を笑いに包み、いつもの熱い語り口で持論を展開した。

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永守理事長の記念講演要旨

 昔から学校の先生と公務員は、私の話が伝わらないので、講演をしなかったのですが、今回は京都先端科学大学のPRのチャンスだと思い来ました。

 知らないうちに決まっていた講演のタイトル通りの話になるかわかりませんが、まず私の生い立ちから聞いていただきます。

 私は京都の貧しい農家の末っ子として生まれました。家の手伝いばかりしていたので、勉強らしい勉強はしなかったが、成績は良かった。小学校4年生の時、モータを使った羽根車を作ったら一番になり、先生に褒められた。これが私のモータへ傾倒するきっかけです。その後、中学校に上がっても勉強はできたので、担任の先生が、工業高校ぐらい行かせてやってくれ、と親父は早くに亡くなっていたので、兄夫婦に何度も言ってくれ、通うことができた。そこでも勉強ができたので、担任の先生が学費のかからない職業訓練大学校を教えてくれた。特待生で入学し4年間、タダで勉強し卒業しました。

子供の時から社長になりたいと思っていた。社長になったら「ステーキやケーキなどおいしいものが食べられる」というたわいない理由でした。28歳の時に、自宅の納屋を改造して日本電産を創業しました。以来40年余り、必死で働きました。いまでは世界43カ国、グループ370社、従業員14万人を抱えるモータ製造の世界最大企業に成長させました。

そんな日本電産でこれまで国内だけで約8000人の大卒者を採用してきました。その個々の能力を分析してみると、出身大学の偏差値やブランドなど仕事をするうえで何の関係もないことがわかった。最近、我が社ですごい発明をしたが、その中心になった社員は東大や京大というブランド大学ではありません。発明はひらめきが大事だから、今の受験勉強に必要とされる暗記とテクニックなど全く関係ない。だから私は今の大学教育は間違っている、というのです。受験勉強は暗記とテクニックを学ぶだけで、実社会では役に立たない。こうした偏差値教育とブランド主義を打破しようと思ったのです。

もっと社会に出たときに役立つことを教えるべきで、そんな実践的な教育をする大学を創ろうと決意し、この大学の経営に乗り出した、というわけです。私が大学経営に乗り出して2年足らず。「京都先端科学大学」と今春から名前も変え、本格的に改革に乗り出しました。ぜひ見に来てください。大きく変わりました。学生の礼儀作法もきちんとしてきだしたし、カリキュラムを変え、力を入れている英語もメキメキ上達しています。TOIECで650点取れないと卒業させません。

たった2年でも大きく変わりました。偏差値ランキングには興味はないが、我が大学を2025年には関関同立を抜き、10年経てば世界ランキングで東大、京大に次ぐ位置に、2030年には京大を抜いてみせる。「会社の再建には成功しているが、大学は難しい」とわかったようなこと言う人がいるが、やって見せます。ここで宣言しますから、覚えておいてください。

もう一度言います。偏差値やブランドなど関係ありません。現に日本を代表する松下電器産業やホンダの創業者はブランド大学など出ていない。京都の村田製作所やオムロン、ロームもしかりだ。偏差値主義やブランド信仰など30年前に崩れている。

だれもが生まれた時にマッチを持っている。しかし、放っておくと湿ってしまい火がつかなくなる。発火するマッチを持ち続けているのは1000人のうち3人から5人です。でも火を付けたら燃える者は8割はいます。8割も燃えるんですよ。それが教育ではありませんか。

うちの大学も引き受けた当初はひどかった。こっそり授業を見に行ったら、授業を聞かずスマホはいじるは、寝てるは、私語はしてるは、と学生の態度はひどかった。教員に注意するように言っても「うちの学生に注意しても無駄だ」というばかりでした。そんな学生でも卒業させていました。落第させると辞めてしまい、授業料が取れなくなるからです。こんな学生を金づるとしか考えていないような状態では一流にはなれません。勉強しない学生や礼儀作法のなっていない学生は卒業させない、と決めました。それで学生が一人もいなくなって学費が取れなくなったら、私が払う、と宣言しました。

その代わり、教員もしっかり授業をやり、学生の面倒を見てもらうよう要求しています。私も授業を聞いてみたが、5分で寝ました。学生のせいだけではありません。改革を進める中で、学長も学部長も変えました。私の改革に共鳴する教員を世界中から集めています。まだまだうちの大学は変わります。いま学生数は4000人くらい。何万人という大学をつくる気はありません。せいぜい1万人でしょう。質の高い教育を実践し、即戦力となる人材をつくります。期待してください。ぜひ生徒をうちに送ってください。責任もって、社会に出ていける人材にして卒業させます。

会場との主な質疑応答

 ●一番大切にしていることは。(滋賀県から参加)

永守)「人が好き」ということ。これがないと社員ら関係者に関心が向かない。よく「ほめて育てよ」などいうが、育ったのを見たことがない。叱るのは関心があるから、その人間を好きだから関心を寄せ、よくしてやろうと思い、足りないことに目が向く。それを指摘することが愛情だ。ほめるのは2割、叱るのが8割を心がけている。

 中間管理職の連中が「部下が報告してこない」などと言う場合があるが「上司は部下の御用聞きになれ」と叱る。こっちから声をかけることが大切だ。「人を好きになる」ことを実践していれば、部下が報告してこない、という話にはならないはずだ。

 

●面接などで採用しよう、魅力ある人材だ、と思うポイントは。(兵庫県から参加)

永守)人間は「心」だ。でも心は外から見えない。だから、いろいろな方面の話を振り、反応を見る。どのようなことに反応するのか、目の動きを見てもわかる。何も反応しないのは評価できない。

 最近、私は面接をしないので、面接を担当する社員に、履歴書とか何も見ずやれ、とよく言います。相手をよく見ろ、という意味です。昔、飯の早食いで採用したこともあり、当時、話題になりました。大学のブランドなどで評価してはいけない。こんな話もあります。ブランド大学の学生と、そうでない学生を採用しました。前者は当然のような顔をしていました。一方、後者は親に電話をかけ「採用された。うれしい」と喜びを話し「よかったな。こんな立派な会社に採用されて」と親子で喜んでくれました。入社してどちらが頑張って働いてくれるか、分かるでしょう。

 

 ●24時間お元気に見えるが、理事長の元気の源は。(兵庫県から参加)

永守)夢と理想を持って実現に向けて頑張ることです。75歳になった。それを機に、これから50年計画を立てている。125歳まで生きるつもりだ。働き続けることが大事だ。ノーベル賞をもらった山中教授に話したらiPS細胞の実用化にはまだ20年かかるそうで、「95歳まで自力で頑張ってください。実用化したら130歳でも生きられる」と言ってもらった。もっともついでに実用化の実験のために資金を出してほしいと言われたが。

 24時間にはこだわっている。創業当時、大企業と競争しなければいけないが、人もお金も全く足りないし勝てない。どうしようか、と考えていた時、ふと思った。1日24時間は大企業もうちもいっしょだ。よし、時間を活用しようと。24時間は働けないが16時間は働ける、と社員と頑張った。今は働き方改革でだめだが、その頑張りで勝ち抜き今がある。

 仕事には優先順位があり、順番を考えないといけない。毎晩、寝る前に手帳にやることを書き、1,2、3と順番を付けている。朝5時半に起きたら体操をして出勤する。エンジン全開だ。その順番を見ながら仕事をすると効率がいいし、やったことを線を引いて消していくと成果が分かる。仕事ができない人は時間の配分や順番を間違えている。

(総合研究所 講師 上島誠司)

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