2019年12月10日(火)に「京野菜栽培加工実習」の一環として、先進的な作物の栽培技術や農業生産システムを学ぶために、京大農場の見学に行きました。
京大農場は2016年4月に新農場が木津川市にオープンし、先進的な農業生産施設や多くの温室が整備されています。まず、本館3階の講義室で、京大農場の中野先生から農場の概要や、農場が目指す再生可能エネルギーによる農業生産システムである「グリーンエネルギーファーム」などについて講義をしていただきました。
農場の野菜担当の滝澤先生よりトマトの温室栽培について説明をいただきました。1000 m2のフェンロー型温室は温度、湿度、炭酸ガス濃度などを制御できる複合環境制御システムが備えられており、肥料成分やEC、pHを自動的に調整することができる養液栽培システムによってトマトが栽培されていました。栽培されているトマト品種は、京都市の新京野菜ブランドである「京てまり」などの単為結果性品種であり、単為結果性トマトは通常のトマトに比べて温室の暖房費を低減できるとのことでした。
農場技術職員の小西技術長から農業機械の説明をいただきました。イネの収穫と脱穀を同時に行うコンバインや、広い水田の耕耘や代掻きを効率よく行うことができるGPS機能を備えた大型のトラクター、田植え機や果樹園の農薬散布専用のスピードスプレイヤーなど、農業生産で使われている多くの農業機械を実際に見ることができました。
水田担当の西村先生にイネの収穫後の乾燥・調整を行うライスセンターの説明をいただきました。イネはコンバインで収穫した後、稲籾を均一に乾燥させ、籾摺りをして玄米にします。玄米に混在している小さな石片や生育不良な屑米を除去した後、害虫の食害で一部が黒変した玄米や緑色をした未熟米を選別機によって一粒、一粒チェックして選別します。このようなプロセスを経て、玄米は袋詰めされて出荷されます。
果樹担当の中野先生から果樹園と選果室の説明をいただきました。広い果樹園では、モモ、ブドウ、ナシ、カキ、カンキツなどが栽培されており、収穫間近の果物を鳥の害から防ぐための防鳥ネットや農薬が飛散しないための防薬ネットなどが設置されています。収穫した果実を選別する選果室では、光センサー選果機により果実の大きさだけでなく、糖度や酸度などの果実品質を光センサーで測定して選別し、果実品質の保証が行われています。
京大農場を見学させていただいて、最先端の農業施設や農業機械、農業生産システムを学ぶことができました。丁寧にご案内いただいた農場の教職員・学生の皆様、本当にありがとうございました。
(バイオ環境学部 食農学科 特任教授 北島 宣)
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