「シリーズ特別講義B」は、バイオ環境学部3学科の2年生以上を対象に開講されている15回にわたるオムニバス講義です。
この授業は、産業界(食品、化粧品、医薬品等)あるいは研究機関の第一線で活躍されている方々からお話を伺うことで、今後社会人になる学生の皆さんのキャリアアップに繋げてもらうことを目的としています。
「ホップに由来するビール苦み成分の科学」
キリンホールディングス株式会社基盤技術研究所研究員:谷口慈将先生
第15回は、2020年1月14日(火)、ホップの機能性に関する研究・開発でご活躍中のキリンホールディングス株式会社基盤技術研究所の谷口慈将研究員に「ホップに由来するビール苦み成分の科学」と題してお話し頂きました。
はじめにキリンホールディングス株式会社についてご紹介頂いたあと、ご自身が東京大学に派遣研究に行かれた際の研究内容についてもご紹介がありました。また、ビールの歴史について、紀元前2,000年前のメソポタミア文明の頃にはすでに飲まれ始めており、ホップが添加されるようになったのは、雑菌の繁殖を抑制するためではないか、とのことでした。
次に、ホップの苦みや香りの成分について説明して頂きましたが、特有の苦みは「苦味酸」という成分からなっているそうです。その成分はホップの品種や産地等によって大きく異なり、またビールの熟成中にも大きく変化するので、これらを分析するのは大変難しいとのことでした。
近年では、ホップの食品としての機能性が見出されているとのことで、その一端についてお話しを頂きました。特に体脂肪低減作用が、動物だけでなく、人でも認められ、これに関与するものとして、ホップの中の成分が酸化されてできる物質が考えられるそうです。ビールも単に嗜好性飲料ではなく機能性飲料でもあるということに学生も驚いていたようでした。
これで、全15回の講演は終了しました。本講義でご講演頂きました企業、研究機関の先生方にここで深くお礼を申し上げます。学生にとってもいい刺激になったのではないかと存じます。どうもありがとうございました。
(バイオ環境学部 バイオサイエンス学科 教授 藤田裕之)
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