経済経営学部の学生が子どもたちの居場所づくりを企画 ~京都市右京区に提案【経済経営学部】

2023年01月17日トピックス

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京都市の皆さんと

2022年12月22日(木)、経済経営学部経済学科の学生ら6人が「実践プロジェクトⅡ」の一環として京都市の右京区役所を訪れ、子どもたちの居場所づくりにつながる企画「KUAS流 まなび舎のご提案~寺子屋復刻編~」を提案。右京区役所からは、地域力推進室の薮木美緒子企画課長、同室の梅林良哉企画担当、京都市文化市民局地域自治推進室まちづくりアドバイザーの佐藤友一地域支援アドバイザーに対応いただきました。

同学科では、2022年度春学期から正課授業として「実践プロジェクト」をスタート。柏﨑洋美准教授が担当するチームは社会政策の立案を体験するというもので、春学期の「実践プロジェクトⅠ」では、右京区の抱える課題を市職員からヒアリングし、不登校の子どもが多いという課題が明らかになりました。

そこで学生たちは子どもたちが気兼ねなく過ごせる居場所づくりの検討を開始。秋学期の「実践プロジェクトⅡ」では、より具体的な政策にブラッシュアップさせるため、専門家の特定非営利活動法人寺子屋プロジェクトの荒木勇輝代表理事にもレクチャーを受けるなどして、今回の提案「KUAS流 まなび舎のご提案~寺子屋復刻編~」へと取りまとめました。

残念ながら、今回企画したプロジェクトは実現にまで至りませんでしたが、現場の話を聞いて課題を抽出し、その解決策を作成。さらには有識者に対して、その解決策の検証を行い現場の方の意見をヒアリングするという社会で必要な技術を体験できる機会となりました。今後は参加した学生がそれぞれの立場で提案した活動を実践していきます。

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プレゼンテーション資料

〇学生の声

経済経営学部経済学科2年生 川村美空さん

1年間メンバーで企画について話し合いを重ね、実現に向けて取り組んできましたが、実現に至らなかったことに自分たちの力不足を感じました。しかし、特定非営利活動法人寺子屋プロジェクトの荒木勇輝代表理事からご指摘いただいた場所の確保や継続性の問題、役所の方からご指摘いただいた児童館などの既存の施設を使わせていただく方が実現へのハードルが低いこと、不登校などのマイナスなワードを記載しないほうが良いことなどのアドバイスは大変参考になりました。今後に向けて企画を成功させるために活かそうと思いました。

経済経営学部経済学科2年生 篠宮健斗さん

1年間取り組んできたことで、1つの企画を実行して成功させることの難しさを知ることができました。自分たちの企画した寺子屋計画は、無償のボランティアでした。しかし、継続性と場所の確保のハードルが高く、実行して成功させることはできませんでした。有償の利益を目的とした企画では今回以上に難しいものになると思います。自分たちのしたいことを第三者や有識者から見てもらうことで、より良い企画にしていくことが大切であると知りました。

経済経営学部経済学科2年生 前田康太さん

1年間の「実践プロジェクト」を通し、企画したことを実行に移す難しさを学びました。授業では、特定非営利活動法人寺子屋プロジェクトの荒木勇輝代表理事および右京区役所様、並びに本学の柴田部長など、多くの方々にご協力を頂きました。その際に、場所の確保が難しいことや、継続性の問題についてご指摘を頂いたことから、自分達の企画内容がどれだけ未熟であるかを痛感しました。当初の企画内容を、放課後まなび教室や前述の荒木勇輝代表理事、右京区役所様へのプレゼンテーションを経て、3回ブラッシュアップを行いました。企画の実行までには至らなかったものの、専門の方々にプレゼンテーションをし、意見を頂くという貴重な体験となりました。

経済経営学部経済学科2年生 片岡凌さん

この1年間、「実践プロジェクト」を通して、1つの企画について話し合い、実行させる取り組みを行ってきました。しかし、実現に至らず、1つの企画を実行する難しさを痛感しました。特定非営利活動法人寺子屋プロジェクトの荒木勇輝代表理事からのご意見で、場所の確保や継続性の面での指摘がありました。また、柏﨑先生や柴田部長など、多くの方に意見をいただき、どのようにこの企画を継続させるのかという考えが、一番足りていなかったと感じました。今後、企画を作成する際に、「実践プロジェクト」で得た知識を活用したいと思います。

経済経営学部経済学科2年生 野口佳祐さん

この「実践プロジェクト」を通じて自分たちが実現したいと考える事業を実現させることの難しさを身に染みて感じました。実際に事業を実現することには至りませんでしたが、右京区役所様でのプレゼンテーションは、学外の専門の方々に、学び舎を行う場所は児童館を使わせてもらう方が良いなどと、具体的な改善点を指摘していただき、中々経験をすることができないとても貴重なものとなりました。今後の人生において、今回のような体験は必ずでてくるので、そのときは今回の経験をもとにして、今回よりもさらによりよいものを作れるように頑張ります。

経済経営学部経済学科2年生 北川雄一さん

この1年間の「実践プロジェクト」では、京都市の問題点を私たち学生の視点から多角的にとらえ、解決に向かうように事業のプランをチームで協力して作り出すことが出来ました。私たち学生が考えた寺子屋事業を実行するまでには至りませんでしたが、特定非営利活動法人寺子屋プロジェクトの荒木勇輝代表理事をはじめ、右京区役所様や本学の柴田部長から、企画に対しての事業の継続性や寺子屋を実施する場所の確保などのご指摘や、貧困や不登校や貧困といったものを表に出すのは良くないというご意見を頂きました。

指導教員 経済経営学部経済学科 柏﨑洋美先生

「『サードプレイス』としての子どもたちのまなび舎」、これが今回の「実践プロジェクト」の学生たちが提案した事業内容です。「サードプレイス」とは、1989年にアメリカの社会学者レイ・オルデンバーグ氏の著書“The Great Good Place”で提唱された概念です。

サードプレイスとは、コミュニティにおいて、ファーストプレイスである自宅と、セカンドプレイスである職場から隔離された、自分にとって心地良い時間を過ごせる第三の居場所のことです。その居場所は、アクセスのしやすさがあり、常連が雰囲気を形成しながら、新たな人々を受け入れて、より個性的な空間を形成していくというものです。具体例として、カフェおよび地域コミュニティが挙げられます。

この概念にたどりついて、具体化するまでに、次のステップがありました。まず、①右京区役所様にご相談し、空き家を探しましたが、条件のあった空き家が見つかりませんでした。次に、②京都市こども若者はぐくみ育成推進課に「放課後学び教室」への参加申請をしましたが、大学の時間割の関係で日程があわず参加できませんでした。さらに、③NPO法人寺子屋プロジェクトの荒木勇輝様から学生たちのプレゼンテーションにアドバイスを受けました。荒木様からは、場所と継続性について、適切なアドバイスを受けましたが、概念についてのアドバイスはありませんでした。

かえって、それが良い結果を生みました。新聞記事や過去の文献を調べて、荒木様の成功の理由にたどり着こうとしました。それが、全て「サードプレイス」の概念に基づいていることがわかり、そこから事業の現実化が加速していきました。

最後に、右京区役所様での事業のプレゼンテーションとなりました。学生たちは、プレゼンテーションの能力を上げて、質問に適切に回答していました。今後は、それぞれの立場で、企画から事業を現実に立ち上げることを目標にしていきます。

(研究・連携支援センター 柴田雅光)

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