経済経営学部学会 2023年度の第1回研究会を開催【経済経営学部】

2023年06月26日トピックス

2023年6月21日(水)、本学京都太秦キャンパス西館において、本学経済経営学部学会の2023年度第1回研究会が開催されました(対面ならびにオンラインによるハイブリッド開催)。今回は、本年度より本学経済学科に着任したマルチュケ・モリツ准教授、濱口喜広講師の2名により研究報告が行われ、出席した多くの会員との間で活発な議論が交わされました。

報告の概要は、次の通りです。

第1報告

研究型成長モデルにおける環境金融政策の比較研究

濱口喜広 講師

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持続可能な発展を目指す上で、金融商品の活用が注目されている。その為、金融市場の発展が汚染排出量を削減するのか拡大するのかについて議論が続いている。本研究では、貨幣を含む研究開発型成長モデルを用いて、環境税と排出枠による環境政策と金融政策が経済成長と社会厚生に与える影響を分析し、汚染排出量と金融発展の関係を明らかにする。分析の結果、環境税率を上げて名目金利を下げると共に、研究開発部門のCIA制約を減らすと、汚染削減と経済成長につながり、デフレによる貨幣量と信用の拡大が起きる。一方、排出枠の引き下げは、持続可能な発展につながる。その上、デフレによる信用拡大効果と貨幣保有量による信用縮小効果を通じて、排出枠と信用の間にU字型の関係が生まれる。排出枠が生産量にキャップをかける為、金融政策のフィッシャー効果や厚生効果は消失する。最後に、環境政策と金融政策のポリシーミックスが、汚染排出量と金融発展におけるトレードオフまたはウィン・ウィンの関係を決定づける。以上の結果から、金融発展が汚染排出量に与える効果は金融政策と環境政策に依存する可能性があることを示唆している。

第2報告

教育工学とデータサイエンス

マルチュケ・モリツ 准教授

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グローバルソフトウェアエンジニアリング教育

本研究は、立命館大学とニュルンベルク工科大学(ドイツ)で行われている大学院レベルのグローバルソフトウェア工学(GSE)コースに着目し、文化的な側面と、GSEクラスに最も影響を与える要因は何かを調べた。学生の認識を理解するために、分散チーム(日本とドイツの各チームの一部)を組んで、機械学習を用いて機能するソフトウェアプロトタイプを開発することを課題として学生に与え、ソフトウェアエンジニアリングの理論と実践に沿って指導した。そして、事前と事後のアンケートを実施し長期的な比較も行った。

オンラインコースの特徴

フリップラーニングやブレンデッドラーニングについてより深く理解するために、2020年から、WordPressプラットフォームでオンラインコースを開発してきた。そして、事前と事後のアンケートで、オンラインコースの特徴やデザインに関する質問を収集し、オンラインコースを受講する前後の変化を分析した。これにより、期待(前)と消費体験(後)について知ることができ、オンラインコースの今後の改善点を見出すことができる。

加納モデルと人工知能

加納モデルは顧客満足度研究に由来し、この研究では学習者(オンラインコース参加者)に適用した。学生には事前と事後にオンラインコースの様々な特徴に対する感情について質問した。Word2Vecを用いた言語モデルは、学生からのテキストコメントに基づいて訓練され、加納アンケートの結果をより良く理解することができた。なお、Word2Vecはテキストの文脈を「理解」するAIアルゴリズム(ニューラルネットワーク)の一つである。

今後の研究:応用データサイエンスとPBLコース

今後数年間かけて、本学、立命館大学、ディナミカ大学(インドネシア)間で共同研究を計画している(プロジェクトは開始されている)。データサイエンスに関連する授業を各大学において問題解決型学習(PBL)形式で行い、各分野での教育理解度について分析を行う。 立命館大学とディナミカ大学には情報理工学部があり、それぞれ関連する授業を行う。ディナミカ大学では「スマートファーミングプロジェクト」(IoTセンサーとデータ収集によるエビの養殖)を行っている。私は本学経済経営学部でデータサイエンスとデータ分析の科目を担当する。3大学での授業を比較・分析し、研究成果を発表する予定である。

(経済経営学部講師 段 杰一)

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