歴史文化学科 佐藤文子教授の研究成果が公刊【人文学部】

2023年10月27日トピックス

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『佛教史學研究』書影

人文学部歴史学科の佐藤文子教授がオーガナイズされたシンポジウム「仏教から見る死者・神・天皇/皇帝」(佛教史學会、2022年11月)の成果が、『佛教史學研究』第65巻1号に掲載されました(2023年10月)。

本シンポジウムは、南北朝・隋唐時代の中国や、古代日本を含むその周縁の世界において、生者の社会から向けられた死者・祖先・神霊へのまなざしを観察分析することにより、5世紀から9世紀の東アジアにおける信仰の様相を具体的に捉えています。その中に、佐藤教授の論文「高御座の盧舎那仏」(pp.68-99)も含まれており、生者に災いをもたらす死者を祀って慰霊し、その力を種子稲に託して五穀豊穣を祈願する御斎会の成立と展開において、複数の思想や信仰が融合した日本的祖先信仰の方法が方向づけられたことを明らかにしています。

佐藤文子教授コメント

私たちの祖先は、死者を看取り、偲ぶ文化を成立させましたが、それが本格化したのは、同じ居住空間(たとえば平安京)を捨て去らずに定住するようになってからのことです。天皇の御殿で毎年実施されていた御斎会という儀礼は、僧侶に委託して仏教式で行われましたが、それは死者を偲ぶという文化を読み込んでいくための回路として機能した節があります。今後は研究班を組んでさらにこのテーマの研究を深めていきたいと考えます。

(人文学部教授 山本淳子)

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