女性企業家講座浦中 順子 氏:「花で人を幸せにする!ミッションに生きると毎日が楽しい♪」

2021年10月19日

2021年10月14日(木)4限の「女性企業家講座」(京都太秦キャンパス)では、 浦中順子 うらなかじゅんこ 氏(花プラス株式会社 代表取締役)にご講演いただきました。

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主な経歴等

  • 一般社団法人 イーコマース事業協会 副理事長。
  • 大阪府生まれ。関西外国語 短期大学 米英語学科卒業。
  • 母の日だけで、5000万円販売するインターネットのお花屋さん。
  • 2000年、楽天市場にてネットショップを開店。受注効率化と業務改善により、少人数で多店舗展開。
  • モール店、自社サイト等、現在6店舗を運営中。
  • 5年連続 ヤフーショピングストア ベストストア賞に輝くなど数多くの賞を受賞。

1 5年連続、ヤフーショッピングベストストア賞受賞の理由

たくさんネットショップが開店するが、例えば楽天市場では10年間で1.5%のお店しか生き残らないほど厳しい。その中で花プラス株式会社は、21年間生き残っている。しかも、5年連続、ヤフーショッピングベストストア賞を獲得するなど、お客様評価が高い。

その理由は、よいお客さまと、スタッフ、ネットショップの店長仲間に出会ったおかげ。市場の近くにお店があり、毎日お花を仕入れているので、新鮮であることもお客様に喜ばれている。毎日お花を仕入れられるのは、たくさん売れているから。それにより、仕入れすぎてお花を余らせる「ロス率」を減らして、利益を確保できている。たくさんお花が売れる主な理由は次の通り。

①メール等によるお客様の声(レビュー)に耳を傾けている。

②翌日にお花を届けている。

③ネーミングをわかりやすくしている。
ネットショップ名を「ウェブフラワー」から「翌日配送お花屋さん」に改名することによって、売上が2.5倍になった。

④検索サイト対策に力を入れている。
検索サイトで、例えば「誕生日、花」と入力したら、自分のお店が出てこないといけない。ネットショップでお客様に出会うには、グーグルなどの検索サイトで発見される必要がある。検索されて発見されないと存在しないのと一緒なので、発見されるように色々努力をしている。

⑤普通の花屋では買えない、特徴ある商品を販売している。
例えば、風船のなかにお花を入れたり、資格を取ってお花とワインを売ったりして、お客様に喜んでもらっている。

⑥お花だけではなくハッピーも売っている。
お客様の思いが相手に伝わるようなフラワーショップを運営している。企業理念「花で幸せにする」。

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風船の中にお花

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ワインフラワー

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2 失敗を乗り越えて、あきらめずに続ける

月商1000万円を売り続ける店は0.1%しかない(浦中氏の共著『トップ0.1%の条件』アチーブメント出版、2009年)。トップ0.1%になれるコツを一つ挙げると、「あきらめない」こと。

今までに失敗もたくさんあった。一番の失敗は、友達のネットショップ店長に合わせて月1000万円をめざし、単価の低い花だけでなく、健康食品を販売したこと。売上は急増し従業員も増やしたが、薬事法が強化され、健康食品を売ることができなくなった。

その結果、売上が急減し、従業員の派遣先を探したり、マイカーを売却したりすることになった。そのとき、お花屋さんを辞めようと思った。しかし、ネットショップ店長仲間から「辞めんとき、またいいときも来るよ」などの励ましがあり、辞めなかった。花だけで月1000万円の売上を出そうと一からやり直し、必死にがんばって花だけで月1000万円売れるようになった。

3 事業展開と将来の夢

2、3年前まではネットショップオンリーだったが、今はお店のある大阪府茨木市の企業とのB to B (Business to Business)、企業間取引に力を入れている。それのよいところは、運送料がかからないこと。10年前と今とでは、運送料が2倍くらい高い。それが売上を圧迫している。今後も運送料の値上がりが予測されるため、事業体を見直す時期にきている。

将来の夢は、8年後、マレーシアで趣味でダンスを教えて暮らすこと。

4 質疑応答

質疑応答の時間には、受講生からたくさんの質問がでました。その一つ一つに対し、浦中社長は丁寧に回答してくださいました。

学生(経営学科4年、男):コロナ禍で事業にどのような影響がありますか?

浦中社長:コロナがはじまった昨年2月・3月はパーティやイベントなどの花の予約がキャンセルになり、売上は落ちた。しかし、誕生日のお花をメインに事業をしているので、それの売上は落ちていない。また、帰省ができないなどで花を贈ることが多くなっており、売上は上がっている。

学生(経済学科2年、男):起業して最初のブランド力のないときに、どのように売ればよいですか?

浦中社長:小さい会社はブランディングが重要で、安売りはダメ。自分が何を売りたいのか、どんな人の役に立ちたいかが大切。例えば、シニア向けだったら、シニアのことを考えて喜んでもらえるものを開発する。そして、とことん突き詰めて、他にないもの、価値を追求していく。1000円のものだったら、1000円の価値のあるものをどう作るかが大切。

もう一つは、上り坂を狙うこと。今、上り坂のものは、SDGsなどの環境に配慮したもの、健康に配慮したもの、シニア向けなど。ネットショップも上り坂だったので成功した。

学生(経営学科2年、男):世界にお花を売るときに、お花の鮮度はどうされているのですか?

浦中社長:保存液につけたプリザードフラワーは3年ぐらい保つので、海外に販売している。
メインの生花は日本だけ。日本に住んでいる海外の人の家族や恋人は日本にいるので、その人をターゲットにしている。海外向けのインターネット販売(越境EC)自体は、運送料が安くなり、早く届けられるようになっており、状況はよくなっている。

学生(経営学科2年、女):なぜ「あきらめない」で続けられるのですか?

浦中社長:自分が本当にやりたいことを見つけること。それができれば、どんなしんどいことがあっても、あきらめずに続けることができる。ゴールが決まれば、色々な実現のためのやり方、アイデアが浮かぶ。ゴールがなければ、逃げてしまったり、ゴールが見つからなかったりする。

私の場合は、「花で人を幸せにする」というゴールを決めているので、しんどいことがあってもあきらめずにがんばって進めた。

学生(経済学科2年、男):お客様に認知していただけるための方法は何ですか?

浦中社長:今の人はレビューを見てからものを買う。人にどれだけ喜んでもらっているかというレビューが重要。その方法もSNSが中心。今の時代に応じたものをする。今よいと聞いているのは、無料でできるインスタ。他は、年齢や地域などのターゲットが絞れるフェイスブック。

ネットショップ・ビジネスの成功の秘訣などを学び、受講生にとって有意義な時間となりました。

(経済経営学部経営学科 教授 安達房子)

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