全国高等学校PTA連合会京都大会で、永守理事長が記念講演 1万人が熱弁に聞き入る

2019年08月26日トピックス

PTA会長や校長など学校関係者ら約1万人が集まった全国高等学校PTA連合会京都大会で2019年8月23日、本学の永守重信理事長が記念講演を行った。質疑応答を含め1時間半にわたる熱弁に、出席者は魅了されていた。講演は「学校教育・家庭教育に思うこと」と題して行われた。京都市にあるロームシアター京都のメインホールを主会場に、向かい合う京都市勧業館みやこめっせにも特設会場を設け、熱弁を奮う永守理事長の姿を同時中継した。

大会は、今回で69回目を迎え、京都大会が22、23日に、「Kyoから! 未来を拓く」をメインテーマに催された。

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永守理事長の記念講演要旨

京都先端科学大学のPRに参った。

その前に日本電産を創業した私がなぜ大学の理事長になったかをお話しする。日本の教育、特に高等教育に異論があるからである。大学を出て採用しても即戦力にならず、企業で1、2年再教育しなければいけない。経済学部を出ても簿記もできないし、海外勤務をさせようにも英語もできない。日本の大学教育は間違っている。受験勉強は暗記とテクニックを学ぶだけで、実社会では役に立たない。こうした偏差値教育とブランド主義を打破しようと思ったのである。

私は京都の貧しい農家に生まれた。家の手伝いばかりしていたので、勉強らしい勉強はしなかったが、成績は良かった。中学校の先生が、工業高校ぐらい行かせてやってくれ、と家の者に言ってくれ通うことができた。そこでも勉強ができたので、担任の先生が学費のかからない職業訓練大学校を教えてくれた。特待生で入学し4年間、1円の金も使わず卒業した。就職した当時から独立心が強かったので当時の金で2000万円貯めて35歳で会社を興そうと考えた。人から服をもらったり、昼はいつもカレーライスだったりと切り詰めた生活を続け、目標より早く28歳の時に、自宅の納屋を改造して日本電産を創業した。以来40余り、必死で働いた。いまでは世界43カ国、グループ300社超、従業員約14万人を抱えるモータ製造の世界最大企業に成長させた。

そんな日本電産でこれまで国内だけで約7800人の大卒者を採用してきた。その個々の能力を分析してみると、出身大学の偏差値やブランドなど仕事をするうえで何の関係もないことがわかった。今の大学教育は間違っている。もっと社会に出たときに役立つことを教えるべきで、そんな実践的な教育をする大学を創ろうと決意し、この大学の経営に乗り出した、というわけである。

息子が2人いるが、「勉強しろ」などと言ったことがない。ただ、英語を喋れるようにしておけ、などポイントは押さえていた。何がしたいかが大事で、子どものしたいことをさせた。息子2人は柔道と剣道を卒業するまで続けた。受験のために2年生で辞めるなどということはなく、最後までやらせた。その結果、息子は2人とも会社を経営している。欧米では一流大学を出た者は起業する。それが当たり前だ。それが日本では、子どもが会社を経営しているというと「危ないことをしてますね」などと言われる。何を言ってるんだ。そんなことだから世界から遅れるんだ、といいたい。いま一流大学に入ったからといって安心ではない。むしろ大会社ほどリストラをやっている。それに日本を代表する松下電器産業やホンダの創業者はブランド大学など出ていない。京都の大手企業もしかりだ。偏差値主義やブランド信仰など30年前に崩れている。

英語がなぜ大事か。日本電産は、ポーランドやハンガリーにも拠点があるが、意思疎通は英語だ。英語ができなければ、世界的な競争に勝てない。なじみの寿司屋もマッサージ店も英語を勉強し、両方とも外国人客でいっぱいで、常連の私が座れないほど繁盛している。いまや、こんな小さな店にも英語が必要な時代になっている。

だから、うちの大学は使える英語を学んでもらっている。複数形がどうだの、といった文法中心ではなく、まずしゃべれることが大事。そうしたら英語を学ぶことも楽しくなり英語好きになる。それから専門の英語を勉強していく。だれでも言葉が喋れるようになってから読み書きを学ぶ。うちに来てくれてまじめに頑張ったらTOEICで650点取れるようにする。それにそれぞれの専門の知識があれば、就職はどこでも通る。就活しなくてもいいぐらいだ。卒業時に650点取れる実力があれば、会社にはいってもすぐ800点は取れる。そうなれば即戦力だ。偏差値ランキングには興味はないが、我が大学を10年経てば世界ランキングで東大、京大に次ぐ位置にし、2030年には京大を抜いてみせる。そのためにも英語が大事だ。

とにかく偏差値やブランド志向の社会全体にそれが間違っていることを分からせるために風穴を開けてみせる。そのためにも私自身が先頭に立って、この大学の改革を成功させないといけないと思っている。そんな意気込みあふれる京都先端科学大学にみなさんの子供さんをぜひ預けてほしい。

(総合研究所 講師 上島誠司)

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