「国際社会のど真ん中で活躍できる人材を」前田学長が決意新た 飛躍し続ける本学、永守理事長も大学改革を熱く語る オープンキャンパスで、本学両トップが受験生に呼びかけ

2019年12月09日トピックス

工学部が来春開設されることが正式に認可されたことを受け2019年12月8日、本学太秦キャンパスでオープンキャンパスが開かれた。オープニングイベントとして永守重信理事長の講演会が開かれ、北館みらいホール約500席が立錐の余地もなく受験生らで埋まった。

冒頭、あいさつに立った前田正史学長は、来春開設が正式認可された工学部を含め5学部構成になる本学について「全く新しい形の総合大学になる」と解説。「国際社会のど真ん中で活躍できる人材を育成する」と宣言した。

永守理事長の講演に移ると、いつものパワフルで独特の“永守節”全開の語り口で会場を魅了した。大学経営に乗り出したきっかけや、偏差値教育やブランド志向の打破、本学の行く末などの持論を熱く語り、最後の質疑応答まで大学への熱い思いを受験生らにぶつけた。

前田学長あいさつ要旨

来春開設する工学部が正式認可され5学部となりコンパクトだが全く新しい形の総合大学に生まれ変わります。こうした環境のなかで、国際社会のど真ん中で活躍できる人材を育成していきたい。

特に来春新設される工学部は当たり前ですが世界で一番新しい工学部です。その歴史は150年ほど前にさかのぼります。明治の初期、富国強兵を推し進めるなか、道路やダム、船などを造る技術者の養成を行う工部大学校ができた。欧米から有能な技師が数多く来日し、橋などを造ると同時に後進の指導にもあたりました。10年ほどたち、東京帝国大学ができ工学部も設置されます。神学や哲学、数学などが主流の欧米では、工学は学問とみなされていない時代ですから、大学で工学部ができたのは世界でも画期的なことだったと思います。従って工学部は日本が起点になり発展してきた学部だといえます。そんな150年の歴史の中で蓄積されてきた知識は膨大であり、いま産業活動で起きている現象から普遍的な法則を考える学術的な考え方は世の中を大きく発展させてきました。

本学の工学部にはもうすでに21人の教員がそろっており、英語を標準語とする者が3分の1いる。教授会やミーティングも英語で行っており、これまでの工学部とは違う全く新しいカリキュラムで臨む。例えば、入学して最初のセメスターでは、2本足で立つにはどう制御したらいいか、などロボットを実際に触り、実践を体験してもらう。その後のセメスターから座学、学術にも触れていってもらう。工学を学ぶ土台となる物理と数学は従来の1.5倍の時間を割いている。英語の授業も、最初のセメスターで1週間に90分の授業を10コマ取って鍛えてから、あとのセメスターで専門の授業も英語で行う。もちろん、専門の授業は午前に英語で行ったら午後に日本語で行うなどのフォローも考えているので、英語が苦手でも十分ついていけるように工夫した構成をしている。

従って、物理や数学は得意だが、英語は苦手だという人も歓迎しているので、ぜひ受験してほしい。

永守理事長の講演要旨

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まず事業家の私が、なぜ大学経営に乗り出したかについてお話しします。日本の教育、特に高等教育に異論があるからです。大学を出ても、英語はしゃべれない、専門性もない、おまけに礼儀作法もなってない。全く即戦力にならず、企業で1、2年再教育しなければいけない。受験勉強は暗記とテクニックを学ぶだけで、実社会では役に立たない。私が経営する日本電産でこれまで国内だけで約8000人の大卒者を採用してきました。その個々の能力を分析してみると、出身大学の偏差値やブランドなど仕事をするうえで何の関係もないことがわかった。今の大学教育は間違っている。こうした偏差値教育とブランド主義を打破し、もっと社会に出たときに役立つことを教えるべきで、そんな実践的な教育をする大学を創ろうと決意し、この大学の経営に乗り出した、というわけです。

私には息子が2人いるが、「勉強せい」などと言ったことがない。ただ、英語を喋れるようにしておけ、などポイントは押さえていた。何がしたいかが大事で、子どものしたいことをさせた。息子2人は柔道と剣道を卒業するまで続けた。受験のために2年生で辞めるなどということはなく、最後までやらせた。その結果、息子は2人とも会社を興し経営者をしている。欧米では一流大学を出た者は起業する。それが当たり前だ。それが日本では、親が安定ばかりを重視し、一流企業へ行かせるため、早くから塾通いをさせ勉強に駆り立てる。いま一流大学に入ったからといって安心ではない。むしろ大会社ほどリストラをやっている。それに日本を代表する松下電器産業やホンダの創業者はブランド大学など出ていない。京都の村田製作所やオムロン、ロームもしかりだ。偏差値主義やブランド信仰など30年前に崩れている。

次に英語がなぜ大事か。日本電産は、ポーランドやハンガリーにも拠点があるが、意思疎通は英語だ。英語ができなければ、世界的な競争に勝てない。なじみの寿司屋もマッサージ店も英語を勉強し、両方とも外国人客でいっぱい。常連の私が座れないほど繁盛している。いまや、こんな小さな店にも英語が必要な時代になっている。

だから、うちの大学は使える英語を学んでもらっている。複数形がどうだの、といった文法中心ではなく、まずしゃべれることが大事だ。そうしたら英語を学ぶことも楽しくなり英語好きになる。それから専門の英語を勉強していく。子供でも言葉が喋れるようになってから読み書きを学ぶ。そんな英語力のうえに専門性を持ってもらう。

私が理事長になって2年。たった2年で全く違う大学に生まれ変わった。偏差値を否定していてなんだが、本学の偏差値も50を超えた。だから、2025年には関関同立を抜く、世界ランキングでも東大、京大に次ぐ位置に付け、2030年には京大を抜いてみせる。これはマスコミでも堂々と宣言している。

来春新設する工学部は世界初のモータ専門の学部だ。国立大学に入ろうと思ったら、5教科できないといけないが、うちは物理と数学が得意といった尖がり人材も採る。そのうえ、英語で授業をする。国際的に通用するモータ技術者を養成する。他学部も順次、こうしたやり方を取り入れ、例えば「英語が使える看護師」を養成する。

このようにグローバルな人材教育、即戦力となる人材を輩出する大学を創り、偏差値やブランド志向の社会全体にそれが間違っていることを分からせるために風穴を開けてみせる。そのためにも私自身が先頭に立って、この大学の改革を成功させないといけないと思っている。

そんな意気込みあふれる京都先端科学大学にぜひ来てもらいたい。

会場との主な質疑応答

失敗を怖がるような日本の風潮を壊すには。(静岡県の高校生)

永守)それにはまず京都先端科学大学に入り、日本電産グループで働くことだ。(会場爆笑)
私のように起業をしようという学生が生まれる大学にしたい。欧米の一流大学の学生はベンチャー企業を起こす者が優秀と言われる。一流企業に入ろうと汲々としているのは日本だけだ。こんなことしていたら中国に抜かれてしまう。

世の中で一つ変えられるといわれたら、何を変えるか。(高校生)

永守)本当は「政治」というべきだろう。私は汚いものが嫌いだ。真水が好きだ。今の政治家の話は聞くに堪えない。いまは「大学」だ。お話ししたような大学を創り、日本の間違った高等教育を変える。

インターンシップの特徴は。(一般)

永守)日本電産は43ヵ国に拠点がある。その行きたいところに学生を行かせる。1年間行かせることも考えている。1週間程度ではインターンシップではない。これだけやれば即戦力になれる。

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(総合研究所 講師 上島誠司)

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