佐々木政文准教授の著書『近代日本の思想変動と浄土真宗』 刊行【人文学部】

2023年07月25日トピックス

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本学人文学部歴史文化学科の佐々木政文准教授の著書『近代日本の思想変動と浄土真宗』(法藏館)が2023年7月10日に刊行されました。

本書は、国家に代って「社会」や「大衆」が意識されるようになった1910年代から1930年代の日本において、浄土真宗教団が果たしていた社会的役割について論じています。特に、部落問題と「思想問題」を取り上げて、浄土真宗が権力と民衆、社会政策と社会運動の間に立つ緩衝材としての役割を果たしていたこと、人為的で空疎化した国家神道を補完し、国民統制を下支えする機能を有していたことを明らかにしています。

佐々木政文准教授 コメント

本書では従来の通説にとらわれずに、歴史を自由に読み解くことを意識しました。通説では、近代の浄土真宗教団は国家の政策に従属し、民衆による社会運動を抑圧する側にたっていたと考えられてきました。これに対して、本書では、浄土真宗教団は政策と運動との中間にあり、両者のバランスを取る存在だったと位置づけました。この研究によって、近代の仏教に対する偏った見方が少しでも見直されることを期待します。

(人文学部 教授 山本淳子)

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