研究の絆シンポジウム - 記事一覧2023年度 第1回「研究の絆」シンポジウムを開催【研究連携センター】

2023年07月20日

京都先端科学大学では,各学部の教員が研究分野の壁を越えて連携し,本学ならではのユニークな研究を産み出す機会創出の場として「研究の絆」シンポジウムを開催しています。

2023年7月5日(水)に2023年度第1回「研究の絆」シンポジウムを開催しました。シンポジウムは、京都太秦キャンパス嵯峨野ホールにおける対面開催とオンラインのハイブリッド方式で実施され、多くの教職員および学生が参加しました。

今回は、人文学部心理学科 田中史子教授のコーディネートにより、「多様性のある社会に向けて-発達に障害のある人々の支援を考える-」をテーマとし、橋本かほる教授、原田佑規講師、LIANG Zilu講師がそれぞれの研究テーマで講演を行いました。

以下、それぞれの発表内容要約。

橋本かほる 教授(健康医療学部言語聴覚学科)

橋本先生からは、まず、発達障害の特徴についてご説明いただきました。また、保育所において「こだわりが強い」「コミュニケーションが苦手」「集団行動が苦手」など発達の気になる子どもが増えており、これらの発達特徴をもつ子どもに対して、親は何かしら育児の困難さを抱えストレスをもっているというデータが示されました。さらに、先生が臨床現場でおこなっておられる、子どもの発達特性に応じた保育を親と連携して行う一連の育児支援プログラム開発に向け、公立保育園で行っている療育教室の取り組みをご紹介いただき、発達の気になる子どもを持つ親の育児ストレス調査とその分析より幼児期の支援について話題提供をしていただきました。

原田佑規 講師(人文学部心理学科)

自閉症者におけるコミュニケーション困難の原因の1つとして、他者の表情に基づいてその感情状態を推定する機能(表情認知)の非定型性が注目されていることをご説明いただきました。その背景にあるメカニズムとして,自閉症者は(a)他者の表情に対して鈍感なため表情を社会的に重要な情報として認知できないという仮説と,逆に(b)表情に対して敏感なため目を背けてしまうという仮説があるとされています。表情認知に関するご自身の実験もご紹介いただき、自閉症者は怒りを敏感に察知する傾向にあるなどの興味深い結果を披露いただきました。

LIANG Zilu 講師(工学部機械電気システム工学科)

スマートフォンやウェアラブルデバイスなどのユビキタスコンピューティング技術についてご紹介いただきました。これらの技術は、スマートウォッチ・仮想現実・ゲーミフィケーションアプリなど、発達障害のある人のコミュニケーション・社会的交流・自己調整スキルの発達をサポートする目的で、最近開発されたシステムに使われています。そうした最新のシステムの例をご紹介いただき、これらの技術の有効性・妥当性、今後の課題などをお話いただきました。

それぞれの先生方に多くの質問がよせられ、活発な意見交換がおこなわれました。日本語だけではなく英語での発表・質疑応答をおこない、このシンポジウムのテーマの1つであった“多様性”をシンポジウムの場でも少し実現できたのではないかと感じられた時間でした。

「研究の絆」シンポジウムは、今年度内に計6回の開催を予定しています。毎回異なるテーマの下で、様々な分野の教員が講演し、これを契機とした魅力ある分野横断型研究の創出を図っていきます。
(次回開催予定:2023年10月4日(水)17時~19時)

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健康医療学部 橋本かほる教授

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人文学部 原田佑規講師

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工学部 LIANG Zilu講師

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人文学部 田中史子教授

日時

2023年7月5日(水)17:00~19:00

テーマ

多様性のある社会に向けて-発達に障害のある人々の支援を考える-

講演者および演題(発表順)

健康医療学部 言語聴覚学科 橋本かほる教授
「発達の気になる子どもへの療育支援-親の育児ストレス研究より-」

人文学部 心理学科 原田佑規講師
「自閉スペクトラム障害と他者表情の認知の関係」

工学部 機械電気システム工学科 LIANG Zilu講師
「From Serious Games to Wearables: Supporting People with Developmental Disorders with AI-Empowered Ubiquitous Computing Technologies」

コーディネーター

人文学部 心理学科 田中史子教授

会場

京都太秦キャンパス南館 嵯峨野ホール + オンライン

(人文学部 教授 田中史子)
(研究連携センター 中村千絵)

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