2021年度 大学院経済学研究科の修士論文中間報告会

下記の通り、本年度修了予定の大学院生8名による修士論文の中間報告会が行われました。

20211118_eba01.jpg

第一報告は池尾智史さんによる「一時所得の課税要件に関する一考察」の報告で、一時所得の課税要件、課税方法等についての判例研究と学説サーベイを踏まえ、所得区分の再考の必要性を主張する論文でした。

20211118_eba02.jpg

第二報告は、岡田遥花さんによる「役員退職給与における不相当に高額な金額の一考察」の報告で、課税庁による過大役員退職給与の否認について、その判例研究と文献サーベイを踏まえ、不相当に高額という不確定概念で納税者に判断を委ねている問題を指摘し、内部的な形式基準等を公開すべきではないかとした主張する論文でした。

20211118_eba03.jpg

第三報告は、西田泰雄さんによる「組織再編に係る行為又は計算の否認規定」の報告で、包括的租税回避否認規定として制定された組織再編税制の射程とそれが及ぼす効果を解明するために、2つの判例研究を試み、法解釈の在り方および租税法定主義との整合性という問題点を指摘する論文でした。

20211118_eba04.jpg

第四報告は、高塚光太郎さんによる「取引相場のない株式の評価についての考察」の報告で、所得税基本通達と財産評価基本通達により、そうした株式の評価が異なってくるために生じた判例研究にもとづいて、納税者の予測可能性と法的安定性を確保できる評価方法の明確化の必要性を指摘する論文でした。

20211118_eba05.jpg

第五報告は、藤村伸治さんによる「債務免除益の所得区分に関する一考察」の報告で、法人からの個人の借入金に係る債務免除益の所得区分に関する判例研究を踏まえつつ、今後の在り方を指摘する論文でした。

20211118_eba06.jpg

第六報告は、谷口真章さんによる「給与所得者が受ける経済的利益に係る課税問題についての一考察」の報告で、給与以外に追加的に給付されるフリンジベネフィットの課税実態を明らかにしつつ、その一方で非課税とされた根拠・合理性を検証し、今後の課税の在り方を考察した論文でした。

20211118_eba07.jpg

第七の報告は、高木寛司さんによる「譲渡所得課税における取得に係る付随費用と譲渡費用」の報告で、増加益清算説と譲渡益課税説とを対比させつつ、判例研究を踏まえ、それら費用に対する一定の判断基準を検討した論文でした。

20211118_eba08.jpg

第八の報告は、浅田博孝さんによる「同族会社の行為計算否認に関する一考察」の報告で、近年の判例研究を踏まえ、法人税法132条の適用要件規定では、国外等が絡む複雑な租税回避を防げない可能性があるので、諸外国が導入している一般的乱用否認規定の導入必要性を指摘する論文でした。

このページの先頭へ